運営雑談15:旧世代・歴史

 前回に続きまして、本HP上の古代ゾイド人の軌跡を辿ります。
 今回はその滅亡の歴史だねー。
 結果だけならそれで合っていると思うけど――“旧世代”の人が、全力で生きた証と言うのが正しいと思うわよ?
 ……では、始めます。
 前回の時にその片鱗を述べましたが……彼らの歴史が始まる“旧世代”は、何らかの手段による恒星間航行中の事故で惑星外から漂着してから始まり、惑星Ziの年代で言う所のZAC3000万年前〜10万年前の間……その間の数百年間続いたと想定しています。
 古代ゾイド人なら2〜4世代、祖ゾイド人なら6〜12世代の間って所ね。
 もの凄く長い期間に聞こえるけど、現代に至るまでの間に惑星Ziで起こった事と考ると……それこそ瞬く間ぐらいなんだよね〜。
 そんな惑星単位でモノを語ったら、現代で起こっている事だって一瞬の出来事だけどねー。
 ……どうして惑星Ziの近くに来たのか、なぜ落下事故が起きたのか等は規定していませんが、堕ちてきた来たと言う事実だけは確定しています。
 そして、事故の最中に命綱とも言える環境維持システムに損害を被り、降り立った惑星は最大規模の氷河期に突入していた極寒の大地であり、尚且つ隕石の飛来も多い過酷な環境でした。
 ですが、そんな状況に嘆いても生きねばなりません。
 彼等は墜落した惑星間航行船の残骸を拠点とし、オーガノイドの利用や原生生物であるゾイドの因子を使用した自身の肉体改造、その因子制御用の「プロトタイプ・ゾイドイブ」の建造――そして、保有していた技術による惑星Ziのテラフォーミング等により、この過酷な状況の中、生き残れるような環境を整えていきます。
 ここまでが開拓期――彼等が惑星Ziに降り立った最初の足跡にして、生きる事に必死だから目ぼしい出来事もない――本当の意味で平和と呼べる時代ね。
 なお、“中立派”が編成され、「スカイクラウ」の初期案が提示されたのはこの時期の終わり頃となります。
 飛来する隕石の問題は開拓当初からあったのですが、飛来した隕石によって一つの都市が丸々吹き飛び……その無念と後悔を胸に抱いた人達が執念で開発・量産に漕ぎ付けたのが始まりとなります。
 んで、次が全盛期。
 そのキーワードとなるのが……祖ゾイド人の発生ですね。
 ゾイド因子の付与による古代ゾイド人の突然変異体か、労働力の確保の為に作られた人造人間か――。
 まぁ、詳細は判っていないけれど、寿命(※)が違うという“保守派”の根幹を揺るがす存在が出てきた訳ね。
(※)の補足〜。
 荒っぽく言うと、寿命が短い=細胞分裂速度が速い(と言うか普通)=再生速度が早い=宇宙線の影響による劣化よりも復元力の方が優っていると言う事になっているよー。
 代謝の向上以外にも全般的な環境適正の向上が確認されており、疫病等にも強いという特性があったようです。
 ――補足を終えます。
 宇宙に出られる人の発生――出られない人が大半を占める世だったら……まぁ大問題になるわね。
 とは言え、総人口や生産力の少ない“保守派”にとって、労働力の拡充は必要不可欠であった事から祖ゾイド人は数を増やし続け――やがて分離独立、“改革派”となります。
 と、言っても“改革派”が表舞台に出る頃になると、“保守派”による「閉鎖衛星」を使用した惑星の封鎖と技術の囲い込みは済んでいたから、火種はあっても戦力差があり過ぎる――まだ平和と言える時代だったけどねー。
 正確に言うなら、まともな戦力を持たない“改革派”が、“保守派”によって一方的に虐殺・虐げられているという……戦争にもならない時代とも言えますが。
 まぁ、軍事力が拮抗していないと交渉も何もあったもんじゃないからねぇ。
 なお、“保守派”が徹底的に宇宙への道を塞いでいるのも同じ理由によるものとなります。
 今まで挙げた様々な機材を作る技術力があるならば、宇宙に出ても十分に活動出来る筈であり――“改革派”は宇宙に出さえすれば無限の可能性があります。
 それに対し、当時の状況では惑星上でしか生きられない“保守派”は、惑星Ziの限られた資源と生活環境、そして寿命――種としての更新サイクルに由来した経済や技術成長の鈍さによって、“改革派”に宇宙の版図を開かれれば様々な部門で溝を開けられるのは明白であり、絶対に阻止しなければなりませんでした。
 ……あ、そっか。
 宇宙を取られたら、やろうと思えば質量弾を落とし放題にされるんだもんねー。
 「封鎖衛星」と同じように、E転装甲を使用すれば「スカイクラウ」の迎撃力を上回る物を落とすのも可能ですからね。
 故に“保守派”は先に存在していた者としての優位性から来る技術力と経済力によって“改革派”の動きを完全に塞いだという訳ですね。
 んで、こっから終末期――“終末戦争”へと至る流れね。
 “保守派”としては、自身を宇宙環境に耐えられるように出来る技術を開発するまで“改革派”の行動を抑え込み、自らの優位性の維持存続を狙っていたと考えられます。
 しかし、“改革派”も手を拱いた訳ではありません。
 古代ゾイド人の技術と能力の粋とも言える「ゾイドイブ」の干渉波に影響されないゾイドの製造――後にオーガノイドシステムと呼ばれる対抗手段を開発しつつ、“保守派”の強力なゾイド群に対抗できる決戦機体の研究を進めていました。
 基礎技術系で大きく劣る“改革派”が“保守派”に対抗できたのは、寿命の差から来る発展力の違いね。
 子供の数を3人とした場合、平均寿命が200年の古代ゾイドが3人を生み育てる間に平均寿命が60前後の祖ゾイド人は9〜20人を生み育ててますからね。
 補足:かなり単純計算、実際は倍々ゲームで人口差はもっと広がるよ〜。
 この爆発的な生産力により、終末期には“保守派”と戦力的には拮抗できるレベルにまで至りました。
 しかし、代変わりしやすいと言う事は政治的な迷走をしやすいという事でもあり、“保守派”にその点を突かれた“改革派”は報道系を抱き込まれた事によって戦力の弱体化等を強いられ、追い詰められていきます。
 敵国からの資金が報道系に流入している事自体が亡国の始まりだからねー。
 寿命が同じなら報道外の情報の共有化による報道系の虚偽を叩く事も出来ますが、“改革派”の相手は長寿命で思考が一貫している“保守派”――代替わりによって意志が途切れやすいという“改革派”の欠点がモロに出た結果ですね。
 そうして足の引っ張り合いを強制された“改革派”は軍事費の削減や次世代機の開発延期等々、亡国の道をまっしぐらで走って行き――遂に憂国の士が対ゾイドイブ破砕用の最終兵器、「真デスザウラー」を起動させ、“保守派”と戦端を開いてしてしまいます。
 ちなみにここで復習ですが、戦争とは外交の最終手段であり、同時に外交の最悪手でもあります。
 この2つの派閥には、それぞれにはそれぞれが正しいと思う理念と理論があり、部外者から見ればこの結末は「是非もなし」と言えます。
 故に、起こしてしまった“改革派”が悪いとは言えませんし、追い詰めた“保守派”が悪いとも言えません。
 それぞれの派閥内から見れば、自分の生存を脅かす相手が「悪」だからねー。
 起こした方を悪と断ずるのはただのバカ、そしてその経緯を考えないのはただの阿呆ね。
 同じ種である人間同士ですら、教育と意地によって分かり合えないのです。
 ……そもそも種が違うのであれば、この結末は必然とも言えます。
 ――話を戻しまして、“旧世代”の終わりである“終末戦争”です。
 “改革派”の希望の星であった“真デスザウラー”は、そのカタログスペック通り、“ゾイドイブ”の干渉波を無力化しつつ“保守派”のゾイド戦力を粉砕。
 同派の首都まで到達し、“ゾイドイブ”に王手を掛けます。
 ――補足となりますが、これが無印アニメで語られていた「一夜にして国を滅ぼした」の顛末と思考しています。
 第1次中央大陸戦争時代のデスザウラー(ゼネバス帝国製)も似たような事をしているから、このタイプのゾイドはそういうのに縁があるわよねー。
 ……話を戻すよ〜。
 しかし、状況が終わり掛けたその時、“保守派”の防衛隊と「ゾイドイブ」の管理運営者の死力を賭した突撃と行動により、「真デスザウラー」は頭部への打撃と行動理論の書き換えを受け、機能不全に陥ります。
 ですが、頭部への直撃弾によって瀕死となった「真デスザウラー」の搭乗者もまた、その渦中で決死の意地(※)を見せ、最期の力を振り絞った操作によって「ゾイドイブ」を破砕。
(※)の補足〜。
 現有ゾイドを遥かに上回る重装甲を抜いた攻撃手段(装甲突破の折に威力が低下しているとは言え)に人が晒されたらどうなるかを考えれば判り易いと思うよ〜。
 結果とし、行動原理――『“保守派”戦力の排除』を『“改革派”の排除』に書き換えられつつあった中、その改変を強制中断された「真デスザウラー」は“保守派”と“改革派”の両方――つまり『全ての根絶』を至上命題として義務図けられた最強最悪の破滅の魔獣が生まれた訳です。
 この結果もまた、「是非もなし」……かな?
 双方共に自身が最善と思う行動を実行し、その結果が災厄を生み出した。
 ……皮肉といえば皮肉だけど、当然の結果と言えばそれまでね。
 ――「真デスザウラー」を狂わせたゾイドイブ最期の干渉波は、“改革派”の主戦力や“保守派”の残存戦力にも影響を及ぼしており、組織的な抵抗の出来ない――と言うよりも“改革派”の暴走ゾイドによる被害が拡大している中、「真デスザウラー」は旧世代の世界中に破滅を齎していきます。
 ――なお、「ゾイドイブ」の干渉波を受け、暴走した古代種の中で最も多くの被害を発生させたのは“改革派”が第2の決戦ゾイドとして量産していた「真デススティンガー」の初号機となります。
 鈍重な「真デスザウラー」と異なり、耐久力と最大火力で劣るものの機動力が高い「真デススティンガー」は旧世代で最も多くの古代種を潰したゾイドとして認定されています。
 まぁ、結局は「真デスザウラー」に踏まれて潰走したらしいけどね。
 あと、“真デス”に真っ先に狙われたのは「スカイクラウシリーズ」だったらしいよ〜。
 “真デスザウラー”の混ざり合った行動原理にあって、“保守派”と“改革派”の両方から良く思われなかった“中立派”のゾイドは問題を起こさずに抹殺対象として認定でき、尚且つ大型・弱小ですからそのゾイドコアは良い感じの養分になる――カモですね。
 ……話を戻しまして――。
 生活基盤は元より、隕石からの惑星防衛の要である「スカイクラウシリーズ」の殆どを破壊された事で、滅亡の岐路に立った全ての派閥はここに来て漸く団結し、「真デスザウラー」の封印計画を立案します。
 その概要は“保守派”の「イブポリス」内で保管されていた「プロトタイプ・ゾイドイブ」を再調整し、同派の首都で行われた攻防の焼き直しを行う事であり――。
 調整が完了するまでの間、「ゾイドイブ」の気配に引き寄せられて「イブポリス」に近づいて来るであろう「真デスザウラー」を“改革派”と“中立派”の残存戦力で押し留めるという総力戦でした。
 ……結果として、計画は成功。
 「真デスザウラー」は「プロトタイプ・ゾイドイブ」の眼前で動きを止め、同機は機体とゾイドコアとに分割封印され、“終末戦争”は終結しました。
 ……ちなみに、分割封印などせずにゾイドコアを破壊してしまえば色々後腐れは無かった筈なのですが……。
 「真デスザウラー」はコアに異常を来した場合、内臓電源によって暴れ回った後に自爆するプログラムが組まれており、ゾイドイブを失えばゾイド因子によって生き永らえている古代ゾイドが生きていけなくなる為、「プロトタイプ・ゾイドイブ」に被害が出る危険性を避けたようです。
 その辺はさすが決戦用ゾイド、と言った所ね。
 そして、封印計画が成功した後ですが……「平和になりました」なんて事にはなりませんでした。
 「スカイクラウシリーズ」が機能しなくなって生活圏には隕石が降り放題、荒れた地上には「ゾイドイブ」最期の干渉波を受けて絶賛暴走中の高性能戦闘ゾイドが闊歩して移動すら困難……こんなので生活・文化レベルを維持できる方がおかしいからね〜。
 衰退を繰り返し……生き残った人が居れば、それが祖ゾイド人となって今に続いていく、と。
 ……さて、総評です。
 最初に“もしも”の話になりますが……。
 “終末戦争”が起こらなければ“保守派”は“改革派”を上手く「処置」し、いずれ宇宙の道を開いて発展したのでしょうし――。
 “改革派”がすんなり“保守派”を駆逐していれば、古いモノを新しいモノが滅ぼす進化の定型通りになって惑星Zi周辺を制したと思います。
 戦争まで行く所まで状況が進んでしまうと、事が起こっても起こらなくても被害は変わらないからねー。
 事を起こさずに退けば飢餓や搾取によって尊厳も何もなく死に、事を起して負ければ戦場で名の無い戦力として消えるか政治的・戦略的失敗による無差別攻撃で死ぬ――そんな違いね。
 あと、何もせずに引いてしまうと、起こした方が調子に乗ってもっと大きな利益を求めて火種を拡大させちゃうんだよねー。
 そこまでの状況となってしまった場合には、政治家が上手く纏める可能性を信じ、行動するのが正解と言えるのが歴史上の事実と思考します。
 まぁ、退かずに避ける努力を続けなくてはならないのも事実だけどね。
 ……戦争ほど面倒くさい事はないし。
 ――なお、考えられる中でも最悪の結末と言える“終末戦争”にも、得られた収穫が僅かながらにあったと思考する事が出来ます。
 “終末戦争”が起きた後の世界――過酷な環境・状況を生き残った本当に強い人間をベースとした人達が発展する事によって、“旧世代”よりも遙かに頑強で優れた種が惑星Ziを制するようになる――そんな可能性です。
 事実として現代のゾイド人はとても頑丈であり、古代ゾイド人の生き残りと思しき長寿系もそこそこ以上に逞しく生きています。
 まぁ、長寿系は絶対数が少ない事による組織的な支援が実行出来なかった事から相当追い詰められたけどね。
 ……これを利点と言うのは厳しいのが事実だけど――種が違う彼等の未来はどちらかが死ぬか両方死ぬかしかないからねー。
 事実として、現代に残るのは古代文明の残滓のみであり――本雑談は無情な内容ではありますが、概要が正しければ充分に起こりえる状況となります。



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