機体考察:ブラウリッター・シュテルン

 前回に引き続きまして、詳細不明の中型航空ゾイド、ブラウリッター・シュテルンの考察を開始します。
 最近詳細不明が多いわねぇ……。
 まぁ、言っても仕方ないか……。
 今回のも『古き風の音』とか言う組織には所属しているみたいだけど、やっぱりそっちから製造元は追えなかったの?
 『古き風の音』に関する情報は前回から更新されておりませんので、「同組織が独力での開発した」というのは無理がありますが……。
 今回は2つの候補が考えられます。
 1、提示された文面にも出てくる特異点と思われる存在――「イリアス」が古代種のコアと ヴァルハライザー のデータ等を提供し、同組織に作らせゾイド。
 2、暗黒大陸の極地、トローヤにあると言われている生きた古代遺跡の防衛機(もしくはその類似機)として既存の技術を利用して再生させた古代種。
 情報が少ない為、両方外れである可能性もありますが、どちらにしても ラファル のような古代種の再生機である、と言うのは間違いないかと。
 攻撃性能、凄いもんねー。
 ――では、その性能を考察する前に、まずは惑星Ziの空の状況をお話ししましょうか。
 まず、前提となりますが――。
 マグネッサーシステムによる飛翔が出来る事からも判る通り、惑星Ziの空ではレーダーの精度があまり良くない為に電波ホーミング誘導系の(レーダーで探知した敵機に飛んで行く)ミサイルの命中率が低く、その上ゾイド自身の機動・運動性能が高い為に中距離以遠で当てる事は正直破滅的な事になっています。
 熱源誘導の短距離ミサイルなら結構良い線までいけるんだけどねー。
 電波は通り難くても、空を飛んでいる(高いエネルギーを消費)している以上、熱源はあるからねー。
 ――しかも、このミサイル結構しつこいし。
 ですが、この短距離ミサイルも万能ではなく、従来のゾイドの構造上あまり多く積めない上に少々値が張るという欠点がありました。
 ミサイルは数が少ない、機銃では相手の機動・運動性も高い為に決定打に欠ける。
 ――よし、殴りに行こう。
 と、この惑星の空にはどこぞの西方武侠の様な思想が入ってて、レドラー、ストームソーダーといった格闘戦用航空ゾイドというジャンルが存在しているって訳ね。
 ちなみにシュトルヒやレイノスは射撃戦主体の航空ゾイドだけど、搭載できる兵装サイズの関係から近距離での戦闘を主軸としていると考えられているよ〜。
 射撃兵器という手数と間合いの関係でレドラーに対してはかなりの優位が取れていますが、基本性能で勝る上に地味に射撃兵装すら有するストームソーダーに追い掛け回されたらレイノスでも逃げ切れないですからね。
 そんな訳で、一応既存の航空ゾイド最強はこのストームソーダーになるわ。
 まぁ、乗りこなせる人が少ない上に整備性も良くない為に、どんどん姿を消して行っていますが。
 ――さて、そんな状況の中でのブラウリッター・シュテルンですが……。
 流用品である為に性能こそ劣化していますが、マグネッサー・ブレードアンテナによる高い機動運動性能と、低反動荷電粒子砲による長射程――と、技術流用元の ヴァルハライザー の特性を引き継いでいます。
 そして、ここからはブラウリッター・シュテルンの特徴になりますが、参考とした古代種の特性である電子戦闘能力が大きく伸ばされており、総括として、直接戦闘を重視した ヴァルハライザー とは異なる機体特性となっております。
 最初に述べた方の特徴は主に攻撃性能――ストームソーダーの様な変態機動を実施可能であり、なおかつ従来機には無い圧倒的な優位性(射程距離)――の優位性はは ヴァルハライザー で述べた通りですが、拡張されている電子戦闘能力によって、その戦闘能力が凄い事になっていますね。
 ……ん?
 射程は凄いけど、機動性能ストームソーダーと同じくらい――前の ヴァルハライザー よりも劣っているのに……そんなに違うの?
 簡単に言うと、 ヴァルハライザー の場合には、こちらの存在に敵が気が付いた瞬間墜とせる。
 考察対象の場合には、こちらの存在に敵が気が付く前に墜とせる。
 ――と、いった感じかな?
 詳しく説明しますと、従来の航空戦闘はとんでもなく重い高性能レーダーを積んでいる管制機(※)の指示の下、機動運動性能で勝る戦闘機が矢面に立って敵勢力と交戦、優位に戦闘を進めるのですが――。
※:補足〜。
 重くて高価な物を背負っている為に、鈍重で貴重。惑星Ziの場合にはゴルドスのような地上管制機で行われる可能性もあるよ〜。
(航空ゾイドの場合にはミサイルキャリアーとしての運用もありね)
 それに対し、考察対象は単機で一人二役を行っており、戦闘機クラスの攻撃・回避性能と管制機の長距離索敵能力を両方とも有しています。
 そんな訳で、この機体は鈍間と一緒に動かなくても戦場を把握できる事から、迅速な攻撃と撤退が可能となって――。
 遠くから一発撃ってすぐ逃げるを繰り返したり、ある一定の範囲に敵機を近寄らせ無いような戦法が出来るようになる訳。
 ――鬼畜ねー。 
 広域の索敵範囲に直接照準型の長射程兵装は極悪の一言に尽きる……と、いう事でしょうか。
 ちなみに、提示された文面には書かれていませんが、このクラスの電子兵装を機動戦闘ができるレベルの重量に抑えるのは、主砲以上のオーバーテクノロジーである為、恐らく考察対象の頭部は参考にしたとされる古代種の予備パーツか何かをふんだんに使っている可能性が高いと考えられます。
 ……まぁ、それでも構成素材は普及品ですので、万が一交戦距離まで近接され、反撃を受ければひどくアッサリと撃墜される可能性はありますが。
 従来の航空ゾイドが攻撃できる距離まで寄るのはどー考えても無理そうだけどねー。
 あ、ちょっと言う機会をなくしてしまったので付け加えますが、機動性能の『癖』というか『動き方』はストームソーダーの力押しの感がある鋭い機動ではなく、周囲の抵抗を減らすような滑らかな機動であると推察しています。
 加速方向が急激に変動する以上、パイロットに掛かる負担はどっちもどっちだけど、機体に掛かる負担は考察対象の方が少ないかな。
 というか、 ヴァルハライザー しかり、ここの古代種は電子戦闘能力の拡張っぷりが半端ないわねー。
 単純に運用していた国家の違いなのでしょうね。
 スカイクラウ系の設計思想は防衛・防御に特化し、敵からの攻撃に耐えた後、反撃によって確実な撃墜を目指す思想によって構築されていると見て取れます。
 それに対し、この系列の古代種は情報の収集を重視し、最適な攻撃タイミングを掴む事で“機”を確実な戦果としての延ばす思想なのでしょう。



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