機体考察:レムナント

 TYPHON(ティフォン)社製の特殊攻撃用ゾイド、レムナントの考察を開始します。
 いきなり補足ー。
(オリジナルと虚心の鈴音登場バージョンとの違いは、機動補助装置が「重力制御」か「フルマグネッサーシステム」かの違いだけだよ〜)
 また、『虚心の鈴音』(10話)までのネタバレを含みますので、ご注意を。
 しっかし、余分な外装が無いなのに……重いわねぇ。
 素体を基準とすると、ジェノザウラーが112t、ダークスパイナーが118.8tに対し、考察対象は153tとなっております。
 あ、ちなみに改造ゾイドの例を上げると、外装いっぱいの ジェノヴェナトル が135tくらいだから、考察対象が如何に重いかが良く判るよー。
 ……恐らくですが、オリジナルと『虚心の鈴音内』共々、口腔内に4門も納めなくてはならなくなった荷電粒子砲に新素材(凄まじい質量とその重さに見合った耐久力を有する)を使っているのが原因と考えています。
 というか、また詳細を話す前に小ネタから入ってしまいましたね。
 ネタが豊富なのは良い機体である証拠、ってね。
 んじゃ、フィーエル――任せた。
 了解しました、ゼフィリア。
 『虚心の鈴音』における考察対象のロールアウトは ウラガン とほぼ同期ですが、運用思考が ラファル 系とは大きく異なる為、恐らくラファルと同じ頃から開発が始まったゾイドであると予測出来ます。
 補足だよー。
(オリジナルではこの3機種は全て同じ時期にロールアウトした事になってるから、開発経緯が少し違うかもしれないけれど……とにかく、ラファル系とは全く異なる技術体系だと考えているよー)
 そして、考察対象はTYPHON社が求める次期決戦機の候補機として、同ラファル系と競い合った関係にあると考えられます。
 まず、考察対象の設計思想を予測致しますが――。
 何よりも火力、そして範囲攻撃能力を追求する事により、敵軍に反撃の機会を与えない事を目的としつつ、自衛できるだけの近接戦闘能力と機動・運動性能を有する機体を目指したと考えられます。
 それに対し、ラファル系はその圧倒的な機動性能と過不足無い火力(※)により、安全な戦闘距離での高速射撃戦闘という支援・側面攻撃に特化した機体を目指しました。
 (※)の補足ー。
(機動性能からすると控え目な表現だけど、従来機からすれば十分オーバーキルだよー(別名、射程の短いゼネバス砲))
 そして、全く異なる運用思想の下で開発された両機は『次期決戦機選定』という同じ土俵で競う事になるのですが――。
 あ、カットインでちょっと質問。
 素体となるゾイドコアも違うし、両方とも良い機体なんだから両方量産化すればよかったんじゃないの?
 物凄く真っ当な質問ですが……。
 そう簡単に行かないのが、兵器の運用事情です。
 もちろん、某○国の戦闘機のように、競合で落ちた機体を海軍機として復活させた(この機体は後に同国の艦載機の代表格になったりしました)実例もあったりする為、国力に相当する物が潤沢なら両方採用の目もあるのですが――。
 そういった力(生産力)で劣るTYPHON社がそれをやった場合、「虚心の鈴音」で少数ながらも最大の脅威となったラファルの稼働数が更に減ってしまい、脅威とならなくなってしまいます。
 実験機は量産を考慮していないから、基本金食い虫だからねー。
 まぁ、安定した生産ラインが実装できれば状況は変わって来るのですが……。
 基本となる生産力が低い場合、量産機を一本化しないと“戦力化”すらもままならない状況に追い込まれますので、「虚心の鈴音」における(ティフォン)社では両立は不可能であったと言う事になります。
 ……フィーエル、お待たせしました。
 ――再開致します。
 考察対象の行く末を決める『次期決戦機選定』に至る前、同機はTYPHON社が開発中だったステルス機能を付与する事に成功。
 当初想定された安全圏からの大火力による殲滅戦よりも、高い隠密能力と瞬間火力の両立による奇襲に特化した仕様として選定に臨みました。
 ―ん? ステルス……つまりは欺瞞装置?
 そんなのカタログスペックに書いてないけど?
 『虚心の鈴音』にて機体資料を申請した際に頂きました資料からの情報です。
 ちなみに作中の電子迷彩ゾイド、「ティフォりエス」は作品発表の寸前まで考察対象の名前が宛がわれておりました。
 ――話を戻しますが……考察対象は潤沢な機動補助装置を装備している事から、荷電粒子砲を照射しながらの旋回も可能である為――その瞬間殲滅力は『 凶 悪 』の一言に尽きます。
 防衛態勢を整えていない施設……というか、なんでもそうかな……まぁ、とにかく何の準備も無い状態でそんなのを目の前で照射された日には、考察対象の姿を見る間も無く蒸発。
 その照射範囲と威力を考えれば、それこそ考察対象単機で前線基地1つを一瞬で消せるかな?
 はい。
 その目論見が上手く行けば一方的な殲滅が可能となる考察対象は満を持して次期決戦機選定に臨んだのですが――。
 万が一にも敵機を討ち漏らしが発生した場合、運用コスト比が十数倍にもなる決戦機が敵勢力に容易く落とされる危険性がある事が指摘されてしまいました。
 またまた補足ー。
(TYPHON社が運用している装甲材は古代チタニウム合金系と想定している為、従来機でも決して抜けない訳じゃないんだよー)
 とは言え、考察対象は高い格闘能力と標準以上の機動・運動性能という自衛と言うには少々過剰な近接戦闘力を有してはいたのですが――。
 如何せん直接戦闘力ではラファル系の方が遥かに分があり、撃墜された場合のリスクを鑑みた結果として同社の次期決戦機選定で落とされたと考えられます。
 その結果として、『虚心の鈴音』では考察対象を殆どその姿を見る事は無かった、と……。
 でも、10話で凄い活躍してたよね、この子。
 うん。
 だから、もしかしたらTYPHON社はラファル系じゃなくて考察対象を主力に選定していたら未来は変わったのかなー、なんて思ったんだけど……。
 ……もちろん、未来が変わっちゃったら私達(ウェシナ)が無くなっちゃうから、変わったら困るんだけど。  
 しかし、そう簡単に行かないのが兵器運用の面白い所です。
 10話に置いて、考察対象はその強大・広域な火力を最大限に発揮し、破竹の勢いで進出していたストライク・フィアーズに単独で損害を与える程の働きを見せましたが――。
 そこに至るまでの前哨戦――ラファルが行っていた戦力集中を図るウェシナ側の戦力を削る行動や6話で見せた長距離への隠密行動を、考察対象に任されられるかと言えば厳しいと言わざるを終えません。
 えーと……つまり、考察対象が量産されていた場合、もっと多くの戦力にタコ殴りにされていたり、そもグリフティフォン(スカイクラウ21)の修復が終わらなかったりしていた可能性がある、と。
 そういう事です。
 まぁ、オリジナルではそんな制限が無い為――両方とも量産し、TYPHON社の手勢が無敵の軍団化している可能性もありますが。
 防御に秀でた壁役(適度な能力を有するゾイドの物量でも可)が居ないから防御面では不安があるけれど、2機種が揃えば攻撃面ではほぼ完ぺきだもんねー。



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