機体考察:OURAGAN

 TYPHON(ティフォン)社製の超高速ゾイド、OURAGAN(ウラガン)の考察を開始します。
 なお、本考察は本HP内で運用する為の調整を行った後のデータを元にした考察となり、虚心の鈴音(10話まで)のネタばれを含みます。
 それでは改めまして……「虚心の鈴音」の頃の私が操るゼニス・ラプター改――後の ゼニス・ラプターUD と激闘を繰り広げました、TYPHON(ティフォン)社の次期主力量産高速ゾイド、OURAGAN(ウラガン)の考察を開始します。
 まず、基本的な設計概要となりますが――。
 装甲部材、及び構造体は古代チタニウム合金、もしくはその複合材を使用し、ゾイドコアは希少な狩猟豹(チーター)型のコアに古代種(グリフティフォン=スカイクラウ21)で発掘した出力拡張技術を導入。
 後の量産計画に支障が出ない様、性能と保守・生産性を高い次元で両立した優秀な機体として設計されております。
 また、このコアジェネレーターはグリフティフォンの技術を転用していますが、TYPHON社のオリジナルと胸を張って言える代物であり、設計図を入手したアルバ・ウェシナの技術者が「従来機との互換性が全くない……これでは評価試験の実験機を組む予算が降りないな」と嘆いていました。
 できれば作った模造品を乗り回して遊びたかったんだけどねー。
 ちなみに、オーガノイドシステム(OS)の運用形跡もありますが、これはゾイドコア本体に対してではなく、ラファル同様に生体部品周り――主に反応速度の向上に付与する機能として使用されており、既存のOSとは異なる系統の機構となります。
 ついでに補足だよ〜。
(運用思想に関しては作品調整前のオリジナルと同じで、側面攻撃や中距離以遠からの支援戦闘を主な運用方式とした浪漫も遊びもなく敵機を駆逐する『最強の機動兵器』だよ〜)
 次は外装ね。
 ……フィーエル。
 了解しました、ゼフィリア。
 要点だけを先に述べれば、装備する外装はコア回りから得られる大出力を十全に生かす為の高出力・高負荷の仕様でまとめられており、その結果がカタログスペックとして表されております。
 まず、機動関係ですが、これは全てマグネッサーシステムを応用した非燃料式で統一されており、射撃時の姿勢安定、及び衝撃の反動抑制以外に脚部を使わない、ジェノザウラー系と類似した仕様となっています。
 しかし、全身に装備された小型・大出力の発信機によって、考察対象の機動・運動性は常軌を逸するレベルにまで上昇しており、前方方向への加速力ではエナジーライガー改に劣りますが、それ以外の方向への急機動及び旋回性能では同機を遥かに上回っており、 第5世代機と称されるのは確実であると推察できます。
 武装に関しては、胸部と背に装備された速射型と連続照射型の荷電粒子砲とソレを補完する仮想バレルの形成装置、及び両前足のエネルギーブレードが確認されております。
 プロトタイプにあたるラファルの荷電粒子砲は単一の砲門で2つの撃ち方を兼用しておりましたが、考察対象は戦闘能力の向上を目指したのか、砲門を増設し――その結果として火力と応用力が向上しております。
 尚、複数搭載したにも関わらず出力の低下が見られない事から、純粋に倍近い総火力を獲得したと予測できます。
 また、最後の補足とし、考察対象は格闘能力――近接戦闘用の武装を装備しております。
 前足両端に装備されたエネルギーブレードは、E・シールドの系列あたる非実体格闘兵装によって敵機を切り裂く兵装であり、エネルギー兵装でありながら衝撃力の発生を狙った野心的な武装です。
 しかし、装備を確実に保持する都合上、基部がフレームに組み込まれている為、切り裂けなかった・押し止められた等の過度な負荷に晒された場合にはその反動が本体フレームに伝播する問題点が指摘されております。
 古代チタニウム合金製とは言え、機動負荷に対する耐性が結構いっぱいいっぱいだから、変な反動を受けると痛手になる、と。
 フィーエル、ありがとね。
 上記の様に、ZAC2124年代での製造が不可能ではなく、そのスペックだけでも既に化物級ですが――。
 考察対象の真価は、その高性能なハードよりも中身――安全に量産・運用する為に開発された、野心的で革新的なソフトにあります。
 前提条件になりますが――高速型の第5世代機は、既に「人」が操れるゾイドではなくなっています。
 まず、第1の問題として、従来の操縦機構では搭乗者の反応と機体の機動との誤差が掛け離れ過ぎてしまっている事――。
 そして、第2の問題として、超加速でのGや高速機動時の被弾衝撃等によるパイロット保護の問題が挙げられます。
 それらの打開策として、各列強はゾイドと精神リンクの強化やゾイドコアを主軸とした制御方式等を研究していましたが――。
 その仕様ですら高速型第5世代機の全機能を発揮する事は出来ませんでした。
 補足致します。
 ――本仕様に置いて、ゾイド自身の身体の事……姿勢維持や旋回補助、対反動制御等の基本動作は問題なく実行する事が可能でしたが、高速型第5世代機の機体性能は既にゾイドコアの管理能力を超えており、処理し切れなかった事が問題となりました。
 機体機能を完全に発揮する為には人の判断が必要であるが、その処理は普通の人間には重過ぎる上、自機を操る事ですら命の危険を伴う。
 それを解決する為にTYPHON社が開発したのが『仮称:制御システム』です。
 用途に関してはAI(もしくはそれに準ずる機体制御機構)が実行できる物と限定されるものの、その範囲内であれば第5世代機の高性能を十全に発揮する事が可能であり、コックピット内に配した重力慣性ユニットによって高Gからパイロットを保護する。
 補足〜。
(使用感覚を物凄くザックリ言い表すと……使うボタンや操作の多いゲームみたいな感じ?)
 アルバやウェシナはZA能力者や高度なIRデバイス適合者など機体性能を十全に発揮出来る者が運用できるようにする――。
 つまりは搭乗出来る人材が元から限られる方式を進めていましたが、TYPHON社のこの方式は第5世代機を「誰でも」「安全に」運用できる画期的な構想であり、実現していれば第5世代機による高精度の集団戦という悪夢のような事態を起せる可能性がありました。
 前級である ラファル と比較し、コスト――部品点数の縮小とコアジェネレーターの一本化等による生産性の向上もその状況を想定した物であり、ラファルが本来各装備の試験運用であるのに対し、考察対象こそが真の決戦用量産機である筈でした。
 とは言え……まぁ、結果は作中の通り、機体こそ登場時よりも大分前に完成していたのですが、その『仮称:制御システム』の構築が遅々として進まず、操縦系と出力系、ついでに運用コストにも問題のあるラファルが主力になっていましたが。
 そして最後は色々無茶をしての未完成機投入……色々世知辛いわー。



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