機体考察:バシレイア・ゼロ

 ヘリック共和国系の高速戦闘ゾイド、バシレイア・ゼロの考察を開始します。
 ――『系』?
 『製』じゃないの?
 …………一応、製造元もヘリック共和国と言えなくも無いのですが、厳密に言うと違うと言いますか……。
 結論としまして、改造元は間違いなくヘリック共和国です。
 ですが、製造元に不明瞭な点がありますので、今回は『系』としました。
 ふ〜ん。
 ――プリゼア、いつもの補足。早くね。
 ――え〜と……。
 ×:補足……。
 原型機の開発元は、ネオゼネバス帝国がヘリック共和国軍を完全殲滅した別の世界のヘリック共和国との事。
 ×:というか、何も無い所から補足を要求しないで〜。
 ――なるほどね、エナジーライガーの対策機として滅亡寸前のヘリック共和国が製造した機体が原型な訳かー。
 正史でのエナジーライガーの対抗機はライガーゼロ・ファルコンと言えなくも無いですが、あの機体は応急改造の感覚が強い機体ですからね。
 ZAC2109年の決戦で戦いが終わらず、ヘリック共和国の研究開発が進んでいれば出来たであろう機体が原型機と言う訳です。
 まぁ、あの一戦で首都を取り戻せないと、ヘリック共和国軍はマジで詰むから考察対象の原型機は正史だと幻の機体な訳だけれど。
 ……さて、ではそれを踏まえて考察対象の考察に移ります。
 原型機が何らかの戦闘で破損(中破)し、それを何とか修繕したという機体説明の通り、原型と比較して外装が殆ど一新されていますが――。
 しかし、結構無理していますね……お金と時間が無かったのか、既存のライガーゼロのパーツ転用で済ましている部位が多いあたり、当時の運用部隊(ヘリック共和国)の厳しい台所事情が見て取れます。
 機動・運動性共に良好そうな良い機体に見えるけれどねー。
 あくまでも原型機と比較して、ですね。
 性能が劣化していると表記されていますが、現在の考察対象であってもエナジーライガー等の第5世代機と充分渡り合えるだけの能力を有した機体であると判断できます。
 そういえば、原型機はエナジーライガーの対抗機なんだけど……こっちの機体の機動方式はどっちなの?
 プリゼア、どっち――とは?
 機体出力……つまりは足で速度を叩き出す内装型と外装の推進力で高速性を維持する外装型のどちらなのか、と言う事ですね。
 うん。
 ん〜。
 年代と情勢、見た感じからすると、内装型はキツそうじゃない?
 ……たぶん、その通りですね。
 内装型はフレームに非常に高度な技術力を要します。
 敗走を続けていた別次元のヘリック共和国軍にそれだけのフレームを製造するだけ時間があったとは考えられず、また細身である事からゼフィリアの予想は正しいと思考します。
 時間も技術力もあったネオゼネバス製のエナジーライガーですら、フレームがアレだもんねー。
 しかし、強靭なフレーム(と駆動系)を必須とする内装型ではない機体であった為に、開発元よりも更に技術レベルが劣る補修元のヘリック共和国でも修繕出来たのでしょう。
 外装型なら推進系が生きていれば何とかなる、と。
 特殊機関スピカ……壊れて無くてよかったね。
 そうですね。
 複製出来るだけの技術レベルに到達するより前に同機構が動作不能に陥った時――それこそがバシレイア系の系譜が途切れる時、なのでしょう。
 主機関は大切って事ね。
 他だと……スモークディスチャージャーが外され、その代わりにエネルギーシールドが実装されているわね。
 両方ともヘリック共和国の代表的な支援装備だけど……なんでわざわざ電力負荷のキッツイ特殊防御兵装を追加したかなー。
 必要だったのなら、原型機の時点で装備したでしょうに。
 ……もしかしたら、14tも重くなっているのに減っている装甲面――つまり防御力に問題があったのかもしれませんね。
 ……はい?
 原型機は前面のほぼ全てに装甲を配していますが、考察対象の装甲範囲はとても限定的です。
 その原因として、修理に使用した代替パーツでは同じ重量に抑える事が出来ず、積載重量が嵩んでしまった等が考えられますが……。
 それによる防御力の不備は、シールドライガーの様に『割り切る』事で乗り越えたのかもしれません。
 当時のネオゼネバス系の兵装がエネルギー兵器ばかりだった事も考えれば、可能な選択肢ではありますが――そうであるならば、無茶をしましたね。
 その辺はライガーゼロ・ガーディアンと同じ様な防御思想って事?
 その通りです。
 ……話を戻しまして、疑問の出発点であるスモークディスチャージャーを外した件ですが――。
 煙幕系はいつの時代でも使える装備ですので、この時代・この仕様の戦闘方式には不要となったというのは少々無理があります。
 ですので、余分な物を一つも乗せられないぐらいに許容積載量が厳しかった。
 ……と言うのがこの場での推察ですね。 
 凄い機体を改造したり、修理するのは大変なんだねー。
 機械全般に言える事ですが、『買える事』よりも『運用できる事』の方が大事なんですよ。
 普通の国ならその辺はすぐに理解できるのですが、某○国の様に買っただけで満足、保守の事なんて知らない――なんて言う考えは色々終わっています。
 面倒くさい事に、『買う』よりも『保守』の方にお金がかかるんだよねー、兵器は。
 旧アルバ製の機体を乗り回したりすると、シンシアがネチネチねちねちネチネチねちねちうるさい事うるさい事……。
 え〜と……。
 ……あと、NEOイオンターボブースターも外観は結構変わってるけど、 無事だったのかな?
 可動基部が一新されているから、こっちも結構吹っ飛んだと思うけど……。
 良く本体が無事だったわねー。
 技術力で劣ると言われる事もありますが……外部推進系等、ヘリック共和国が最先端を引っ張っている分野も多々あります。
 ジェットエンジンとか炸薬系……あと構造材や対実体弾系の装甲だっけ?
 肯定です。
 基部の形状が一新される程の損傷を被った事から、旧NEOイオンターボブースターも少なからず損傷したと考えられますが、そこは世界は違えど同じヘリック共和国。
 ほぼ同一性能を発揮するパーツを製造出来たのでしょう。
 それでも機動性能がカタログ表示で8%も落ちているけど――これは増えた重量の影響かな。
 ……カタログスペックでは確かに8%程で済んでいますが、実際にはもっと厳しくなっているかもしれません。
 ……どゆこと?
 ――補足致します。
 以下、各推進器の特性となります。
 ジェットエンジンは動作中に発電します。
 ロケットエンジンは制御電力以外電力を消費しません。
 イオンエンジンは(燃料式)も同じく制御電力以外消費しません。
 イオンエンジン(電磁推進)は電力を消費します(※)。
 (※)の補足〜。
 現実だと、電磁推進系は未だに研究中の分野だから、どれ程の電力を消費するか、どれだけの電力印加を反映できるのかは不明だけど……。
 惑星Ziだと完成していると仮定するよ〜。
 えーと、つまり――。
 エナジーライガー並みの機動力を叩き出すNEOイオンブースターは大出力だらから、エネルギー消費も絶大(多分)。
 そんな中で、原型機が想定していないエネルギーシールドなんていう電力を馬鹿食いする機器を追加したら、戦場で息切れなんていう事態になりかねない、と?
 下の武装でお話しするビーム兵器を外していますから、多少はマシになっていると思われますが……危険性はあると思います。
 なるほどね……。
 んじゃ、あとは残ってるのは武装ね。
 ……殆どは原型機と同じみたいだけど、胸部のビーム砲は普及型のショックカノン(衝撃砲)になっちゃってるんだね。
 ライガーゼロ系の転用だから、小型・大出力(サイズの割に)のビーム砲を駆動させるだけの電力供給路が胸部フレームに無かったか――。
 そのビーム砲自体も損傷しており、それを修理できなかった……もしくは、修理費ケチって普及品で妥協したか――って所じゃないの。
 ゼフィリア、世知辛い事をわざわざ言う必要はないかと。
 事実(※)はシッカリと言葉にしないとね〜。
 (※):注=推察です。
 そだ、さっき話題に上がった時も思ったけど、スピカが量産出来れば考察対象自体の量産も行けるって事だよね?
 ……多分、行けると思います。
 修繕部位の状況を鑑みるに、かなりの部位が代替品に置き換わっている事から当機も可能と判断します。
 ただし、武装の多くに転用品を使用している事から、量産に際しての攻撃性能の維持は難しいと推察します。
 特殊機関と言っているんだから、ヘリック共和国版のエナジーチャージャーなのかな?
 残念ながら、詳細は不明です。
 スピカ……確か星の名前だったかな……量産されば殺り甲斐のある機体が増えるから、楽しそうなんだけどねー。
 ゼフィリア、ヘリック共和国は同盟国ではありませんが、現時点での敵国でもありません。
 無闇に関係を悪化させるような発現はお控えください。
 ちぇー。



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