機体考察:アロジェノス

 トルヴォス国の次期主力大型ゾイド、「アロジェノス」の考察を開始致します。
 メーカーは同国御用達&お馴染みのB-Croc製で――同社の初期の傑作機であるジェノヴェナトル の後継機として開発された機体みたいね。
 ……?
 素体や装備がぜんぜん違うのに後継機なの?
 運用適正と使用目的に重複する所が多く、尚且つ更に発展・最適化された技術で構築されている事からの予測となります。
 型番からもそれは予測出来ますが、ジェノヴェナトルがジェノザウラーベースと判別出来るのに対し、本考察対象は完全なオリジナル機体となっている事から同社の技術革新が凄まじい事も想像出来ます。
 そうなんだ。
 で、え〜と……確か、本HPに置けるジェノヴェナトルはエナジーライガーとセイスモサウルスの間を埋める機体――。
 エナジーライガーが側面や後方から突入するまで敵主力を抑える主力ゾイドにして、セイスモサウルスを守る主力前衛――って言う考察だったよね?
 はい。
 要点を簡単に纏めれば、そうなります。
 なお、考察対象はジェノヴェナトルよりも中長距離火力が劣っていると見て取れる事から、立ち位置は同じであっても運用適性は若干異なると判断しています。
 中距離以遠の攻撃は他の機体にお願いするって事ね。
 う〜ん……大型ゾイドなのに火力が低下するのってまずくない?
 まぁ、それは確かにそうなのですが……一言で言うなら、捨てて得たものが大きいと言えばいいでしょうか。
 詳しくは後で話すけど、ジェノヴェナトルと比較して僅かなコスト上昇のみで直接戦闘能力が大きく向上しているみたいだから、使用方法を誤らなければ使える機体みたいね。
 更に補足と致しまして、件の騒動よりも後の後発機がエナジーチャージャーを使用出来ているという事実から、B-Crocとネオゼネバス帝国との関係は上手く修復したようです。
 絶縁状態のまま、獲得した技術を発展させて使っているって言う可能性もあるけどねー。
 ……まあ、そんな考えもありますが……それだと今回の考察の根底――長距離をカバーしてくれる機体が居なくたってしまう為、ネオゼネバス帝国とは同盟レベルに良好であるとします。
 まずはこのメーカーの特色である攻撃面からかなー。
 前級のジェノヴェナトルと比較すると、武装がかなり小振りになって火力が心もとない様な錯覚を受けるけど―― 。
 直結かどうかは判りませんが、大電力を提供するエナジーチャージャーを使用しているエネルギー兵装であれば火力は問題無い筈ですね。
 うん、そんな感じ。
 ――で、ここで強調するのは口腔エナジーバルカンね。
 視線上の敵を撃てる事から命中率が高い上に応用も効きやすく、良く動く頭部に内臓されている事から凄まじい攻撃範囲を誇る。
 威力も併せれば、レーザー・ビーム兵器の対策が中途半端な機体に対し、数体纏めて来ても返り討ちに出来るぐらい大活躍出来るでしょうね。
 なお、同バルカン砲は考察対象の特徴的な兵器ですが、上記の特色から本HP的には「考察対象の主兵装では?」と睨んでいます。
 操縦系に特殊なマンマシンシステム――精神リンクシステムを使ってるのも射撃戦を重視している事の裏付けになるからねー。
 格闘戦を主体とするなら、ゾイド本来の感性を利用すれば安価に――そして安全にその直接打撃力を発揮出来る様になりますからね。
 足とかも走破性は凄そうだけど指が細かったりするから(※)、踏むのは凄くても蹴るのには向いて無さそうだよね。
(※)を自分で補足〜。
 脚部装甲も防護範囲が狭く、機体保護を目的とした通常装甲であり打撃の攻撃には向かないと思考したよー。
 機体構造はたくましいけど、意外と射撃戦を主軸にしているようですね。
 ――大きな口も、口腔内に重火器仕込んでいる関係で深く噛めないもんねー。
 一応、エナジーバイトファングは主兵装であると記載はされていますが――疑問はあると思考します。
 中に仕込んでる砲が大きいから、これで食い付いたら絶対に中の砲身が曲がるか、敵機の破片で動作不良に陥るからねぇ……。
 ――まぁ、逆に言うと破損覚悟で食い付いた状態でぶっ放すれば凄い事になると思うけど。
 コレだけ大きなペイロードがあるのですから、口腔兵装を短射程・高威力・少スペースの兵装に換装し、エナジーバイトファングで食付いてゼロ距離射撃――と言った事に特化させている仕様機も居るかもしれませんね。
 あとは背中に背負ってる対ゾイドエナジーキャノンかな?
 ジェノヴェナトルと比較して火力が低くなったんじゃね?
 ――と、見えてしまう主な原因ね。
 ……まぁ、理由はちゃんとありそうですが。
 聞かせて。
 簡潔に言うと、機動方式がホバーから走行に変わった変わった事により、射撃安定性が低下した事に由るのかと。
 射撃安定性?
 んー、簡単に言うと、動いたり発砲したりした時にどれだけ砲身がブレないか――って、事かな。
 問題ないかと。
 そして、直接足で走って速度を出していると言う事はこの要素がとても悪化するという事になりまして――。
 この考察対象に大型兵装を付ける状況を人間で例えるなら、疾走しながら身長とトントン位の全長があるスナイパーライフルや無反動砲を撃てるか――と、言うのが判りやすいかと。
 重量は無視するとしても、大型であれば重心も遠いからねぇ。
 一歩を踏み出すだけでも大きく揺れるから、停止しないと満足な照準もとれないでしょうね。
 その為の小型化と言う訳です。
 まぁ、エナジーチャージャー直結かどうかは判らないにしても、影響を受けてるなら(砲身の関係で)射程は短くなっても威力はトントンかそれ以上だろうから問題はないでしょうね。
 大型の懸架装置で走行中の振動や衝撃とかを打ち消していたりすれば違ってくるんだけどねー。
 まぁ、いくら小型化して武器の方の射撃安定性を上げても、考察対象の小さな懸架装置だと大本の安定性が良くないから、どーしても照準はブレるだろうから連射するなりの細工が必要ね。
 あ、そだ――少し話が逸れるけど、B-Crocって多くのリソースを攻撃に振ってるメーカーよね?
 他のメーカーもだけど……結構特色が出るよねー。
 他のメーカーを挙げると――。
 「装甲? なにそれ美味しいの?」とでも言うかのように機動・運動性最優先で残りを攻撃に回すメーカーや「攻撃を躱すなんて机上の空論」とでも言うかのように装甲・耐久性能最優先で残りを攻撃に回すメーカーとですね。
 標準的に全取りするメーカーも居るけどねー。
 ……恐らくですが、特化させて切り捨てる要素を含めた方が楽なのでしょうね、色々と。
 んー。
 その流れで行くと、B-Crocの色は「攻撃第一、機動第二。残りがあったら装甲にー」っていうノリなのかな?
 では、この話の流れに乗り、考察対象の2番目の特色にして優位性である機動・運動性に入りましょう。
 最高速度は220km〜350kmと少々控え目だけど――侮る無かれ、よ。
 装甲の防護範囲を削ってでも間接の可動範囲の拡張を目指している事からも判るけど、数ある大型ゾイド(改造ゾイド含む)の中でも随一の瞬発力を誇る、接近戦の鬼よ、この子。
 装甲の範囲が広くない事は、側面を見れば一目瞭然かなー。
 ……あと、正確に言うと接近戦ではなく近接射撃戦闘ですが。
 でも、どうして装甲削ってるの?
 大型ゾイドって、普通に使える最大戦力だから、そんな簡単に墜ちたら国や組織が傾いちゃうんじゃないの?
 要約すれば、時代の裏をかいた――と言うのが正しいでしょうか。
 セイスモサウルスやエナジーライガーと言った従来機と一線を画するゾイドの登場により、新型ゾイドの高性能化とそれに伴うコストの増大は避けられない事実であり、これ等の要素は運営組織の頭痛の種となって行きます。
 そんな中、考察対象は限定条件化で次世代機と型を並べられる大型ゾイドの低コスト化を図り――これを増産する事により、経済力が比較的低い組織でも現状況に光明を見出せるようにしたのだと予測します。
 まぁ、なんだかんだでエナジーチャージャーも積んでるし、接近戦の鬼(仮称)と呼ばれる以上、先鋭技術が入ってない訳じゃないんだけど――それを限定する事で生産・運用コストを大幅に引き下げたんでしょうね。
 だけど、そんな寂しい前置きがあっても、上位の主力大型ゾイドに対し、状況を整えて優位な状況で交戦出来るようにすれば互角以上の戦果を残す事が可能。
 コスト比で考えれば特異な敵1体に対して1.5機以上を投入する事が可能らしいからね〜。
 ――優位な状況に引き込むのは大変だけど、得意の接近戦に押し込めば大型ゾイドとしての膂力も併せて勝ちを拾える可能性もある、か。
 ……まぁ、がたいがデカいから運用コストや輸送の手間で大きなハンデを背負う事になるけど、総合的に強力な機体が作れない、もしくは数が欲しい組織なら十分主力の候補になるわね。
 話を戻すけど……考察対象の機動・運動性能ってどれぐらい凄いの?
 大型ゾイドでありながら、小型ゾイド並の動きをすると思うわ。
 アニメ版のゾイドだと動きが重いからちょっと判りにくいから他のネタで話しますが――Z○ンダムのサ○コ○ンダムが普通のMSのように動いたら怖いでしょ?
 ――うん、凄く判った。
……さて、メインの装甲系の話をする前に、他の特徴的な事を話題に挙げるとすると――レーダーが無いかもしれない事でしょうか。
 え゛、レーダー無いの?
 別段珍しい事ではありませんよ?
 ……ゼニアも機体には付いてませんし。
 ゼニアの方はスプリッドアーマーの影響で余程の大出力じゃないと索敵機能に障害が出る、だったら通信機能の強化に絞って他の機体に教えてもらおう(=データリンク)って、方針だけど……。
 考察対象はどして付けてないの?
 使用頻度が少ない事から、オミットしたんでしょうね。
 ……ここまで低コスト化を推し進めているなら、あまり使わない高価な物を乗せるのは理にかないませんから。
 そもそも、陸戦機体にレーダーを付けるのは少々効率が悪いのが実情です。
 高い所に付ければ付ける程索敵範囲が広がるんだっけ?
 ついでに同じ高度の障害物(木や建物)があると精度が目を覆う程に低下するって言うのもあるわね。
 障害物の無い海上、もしくは高度も高い空中での運用を主とする機種であるならば必須となりますが……陸戦機体に付けるのは相当高価な機体になる訳です。
 先にも述べた通り、考察対処は近接戦闘の鬼(仮称)であり中・長距離以遠の事は他の僚機に任せた方が良いと予想出来ます。
 であれば、そういったロングレンジ攻撃に必要な装備はそもそも不要であり、その分の重量や電力を火力や機動性に回したとすれば十分納得出来ます。
 んー、でも突っ込む時とか部隊行動する時とかの情報はどーするの?
 ロングレンジ攻撃等を主体とする僚機から情報を貰えば良いのよ。
 それっぽそうな通信アンテナの様な物とか、後頭部の先に付いてるしね。
 他の見方をするならば……もしかしたら、B-Crocはレーダー系の技術が弱いのかもしれませんね。
 その心は?
 主なセンサー系が光学ベースになっているのと、明確に判る索敵装備が帝国系の基本型情報ポッドしかない事からです。
 ゲーム等では蔑ろにされがちですが、レーダーはFCS共々新鋭技術の塊ですからね。
 国家・メーカー共に新興そうですので、実入りの少ない新鋭技術開発にまで予算が回っていないのかもしれません。
 んじゃ、本題ね。
 え〜と……本HPが装甲至上者と自称するだけあって、防御面は3本立てなんだよね?
 はい。
 ……まずは「メガチタニウム」を採用した経緯からでしょうか。
 ZAC2110年以降の頃のトレンドになっている古代チタニウム合金を使わないで、わざわざ廉価版の装甲作って実装してるんだよね?
 ……やっぱ値段?
 ……恐らくは。
 機体を構成する上で最もコストが掛かる部位ですので、該当箇所を見直すのはとても大切であり、良い判断だと考えられます。
 あと、完全に自前で生産できるようにする狙いもあるかもねー。
 どゆこと?
 古代チタニウム合金は最強の装甲材と言う訳ではないけれど、そこそこ以上に良好な部材であり、採用すれば(コストは高くなるけど)重装甲でありながら軽快というゾイドが作れるわ。
 うん。コストが許す限り、良い機体を作ろうとするのは当然だよね。
 でも、その装甲材の原材料が外国でしか取れず……もしも外交上の圧力や敗北によってその国からの供給が経たれたりすれば、そのゾイドは装甲の補修も出来なくなって戦う以前の状況に追い込まれる事になるでしょ?
 ――あ、そっか。
 それが兵器の国産率を上げる理由で――多分メーカーが自作装甲を合成したのも同じ理由かな。
 ……まぁ、考察対象の運用状況を見た感じだと、大型ゾイドでありながら一騎当千ではなく数質兼用の主力量産期みたいだから、正解は「両方とも」なんだろうけど。
 次は「メガチタニウム」なる装甲材についてですね。
 えーと……本HPだと、古代チタニウム合金はAPFSDSやHEAT系に強い部材と予測してるんだよね?
 はい。
 まぁ、対レーザー・ビーム系が弱い訳じゃないんだけど、E・シールドとかに比べると、ちょっとね……。
 ……対エネルギー兵器に関しては、レーザー・ビーム系の威力がインフレ起こしてて通常装甲では手が付けられなくなっているというのが実情でしょうか。
 さて……そんな状況下で、メガチタニウムなる素材を考えます。
 セイスモサウルスの装甲がベースで、それを軽量化。
 古代チタニウム合金よりも劣るけど、量産性と重量比で勝る、と。
 あと、解説文面に分厚いという文面がありますね。
 かなり軽量である事を押しているみたいだけど、機体重量はソコソコ……。
 武装は軽そうだけど、エナジーチャージャーとか重そうなの積んでるから――内装系が超重いでいいのかなー。
 素体運動性能が凄く高いみたいだしねー。
 さて、そんな下条件の中、この装甲の特性を推察していきますが……。
 最初の懸念材料は過度な軽量化でしょうか。
 スペックを見る限り、機体が大型化しているのに対して重量もちゃんと増加していますが、それ以上に正面装甲の厚みが増しています。
 説明文で分厚いって言ってるしねー。
 そこで、素材の軽量化が生きてくるのですが……装甲材の軽量化には、よほどの技術革新が無い限り危険が伴います。
 例に挙げるのは……発想が似ているアルミニウム合金かなー。
 該当合金は強度は1/3だが厚みが3倍、イコール重量はトントンか軽量という仕様の装甲部材であり、厚い故にAP(徹甲弾)への抵抗力が強く、また、その厚みゆえに装甲を外装支持材にも応用出来る(=更に軽量化出来る)という素材です。
 これなら分厚いという言動にも合致するのですが……。
 あ、やっぱり弱点があるんだ。
 ……チタンと銘打っているものの、特性の似ているアルミニウム合金と同じく、APFSDSやHEATと言った高速衝突系の弾体やメタルジェットによる攻撃に対して極めて脆弱である可能性があります。
 『軽量+厚みで防ぐー』は、装甲板としては結構危険ワードだからねぇ……。
 チタニウムの特性は軽量・鋼板より強い・高価(※)ですので、もしも『量産性に富む(=安価)』が無ければ惰弱性は考えなくて済むのですが……。
(※)ココ重要。
 どーにもアルミニウム合金と同じ末路を辿りそうな予感がするのよねー。
 ――しかも、古代チタニウム合金よりも劣るって言っちゃってるしね。
 でも、セイスモはゴジュラスギガの大口径キャノン(HEAT)を防いだ実績があるんだよね?
 それもあるんですよね……。
 ――単一素材と思わせて置いて、実は後ろにセラミックスとかを混ぜた複合装甲だったりするのかなー。
 もしそうだとするのであれば、実弾系の対弾性はクリア出来るので楽なのですが……。
 ……最後に「荷電粒子砲を除けば、同クラスのゾイドの攻撃にはビクともしない」という文面ですが……これは少々プロパカンダが入っていると推察します。
 まず、結論としまして――上記の2点から、考察対象は過不足の無いとても最適な防御力が設計されていると考えられますが……高い機動運動性能を維持する為に要点防御方式を採用しており、被弾はなるべく避けた方が良いと思われます。
 実弾系は一部弾種を除き、関節部へのラッキーヒットさえ考えなければソコまで怖くはないけど、レーザー・ビーム系がちょっと拙いからねぇ。
 レーザーとかは照射時間(=加害範囲)が広いからねー。
 また、正面から考察対象を見た場合には機体のほぼ全身が装甲に覆われていますが……側面や他の面から見た場合、未装甲部位が目立ちますので小口径のHE(榴弾)も結構な天敵になります。
 う〜ん……大型ゾイドがそんな弾を怖がるってどうなんだろう……。
 最初は宇○世紀のν○ンダムの頃の様に『当たったらどうせお終い、だったら軽量化しよう』のジェ○ンのような流れで、要点装甲による機動運動性重視の機体だと思っていたけれど、B-Croc的には全取りを目指した野心的な機体と考えてるみたいなのよねー。
 その件に関してですが……。
 この考察対象、どうにも不当に低く性能が見積もられているとの情報もありますので、その辺の錯綜が疑問として表れているのかもしれません。



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