機体考察:ゴドスブレイバー

 ゴドスブレイバーの考察を開始します。
 ……いやはや、まさかここにきて骨董品が話題に上がろうとは……。
 ゼフィリア、一応今(ZAC2125年)でも現役の戦闘ゾイドですよ?
 それはそうだけど……作中でプリゼアが今頃の容姿をしていた頃(ZAC2101年前後)に2線級ゾイドに追い落とされたゾイドよ?
 ――フィーエル。
 了解しました、ゼフィリア。
 ――考察対象、及びその原型機であるゴドスの推察・説明を開始します。
 原型機であるゴドスは惑星Zi初の中型ゾイド(軽量級)であり、それまでの主力量産機であった小型ゾイドとは比べ物にならない程に高い火力、そして過不足無い機動・運動性能を有した同機は当時最強の量産ゾイドとして君臨しました。
 しかし、その性能は拡張性を考慮しない事によって実現した成果であり、技術革新による他の戦闘ゾイドの高性能化によって急速に陳腐化していきました。
 これは設計に余裕が無かったが故、装甲及び機動性の拡張が困難であった事がその根幹にあり、近代化改修を経た後においても同クラスの帝国製ゾイドに対して劣勢であり続けました。
 あ、補足〜。
(注:武装・装甲材の更新は可能だよ)
 例:鋳造系装甲(2030年代)から特殊チタニウム合金(2099年代)とか。
 そのバックグラウンドを踏まえた上で、考察対象に移りますが――。
 フレームが同じである事から同機もジレンマを脱しておらず、装甲の大幅増設に伴って機動・運動性能が大幅に低下しており、対策として各種スラスターを装備する事で機動力の維持を行っておりますが、運動性能と稼働時間は大きく低下していると考えられます。
 また、増強した装甲に関しても要部のみに止まっており、低下した運動性能も勘案するに、大破には至らなくても行動不能に陥る致命打を受ける可能性が増加しており、機動・運動性で勝る敵機との戦闘はは難しいと推察します。
 ――と、近代化改修されたって言っても前線で使うのは苛めというかパイロットが不憫と言うか……。
 ……まぁ、実にその通りですが。
 ふぇ!? 庇ったのにその通りなんだっ!?
 前線で使うのはあり得ません。
 先程もゼフィリアが述べた通り、機動戦が主軸となった昨今の戦場に置いて、装甲も無い、機動力も無い旧世代機に居場所はありません。
 そして、考察対象の真価はそのコストパフォーマンスにありますので、増加した装甲も素材は特殊チタニウム合金複合材クラスでなければ採算が合いませんので――新鋭機の火砲であれば比較的簡単に貫通できますね。
 …………。
 ですが、主戦場で運用されるだけが戦闘ゾイドの役割ではありません。
 歩兵支援や輸送ゾイドの護衛と言った後方支援は有り体に言うと主力から追い落とされた“使いやすい機体”を宛てるのが常道です。
 よって、そういった場所ではゴドスやガイサックと言った第2次大陸間戦争中期頃から最前線で見掛けなくなってきたゾイドも多く使われています。
 ――でも、戦闘になったら負けちゃうんでしょ?
 はい。
 ですが、歩兵や輸送ゾイドがこういった戦闘ゾイドに護衛されている場合、それらを襲撃する側はその戦闘ゾイドを撃破出来るだけの戦力を引っ張ってこないといけない――。
 つまり、“戦闘になる”状況にしないと攻撃に転ずる事が出来なくなります。
 まず、護衛対象が歩兵の場合ですが――この場合、考えられる状況は「敵地制圧」か前線から遠い「味方の市街防衛」です。
 ――とはいえ、「敵地制圧」の場合には味方の主力が見える限りの敵性勢力を撃破した後の敗残狩りですし、市街防衛の場合には防衛網をすり抜けられる奇襲ゾイドか歩兵です。
 輸送ゾイドと帯同する場合にも、場所は味方の勢力範囲内という事になりますので……緒状況は違いますが、対象となる敵は殆ど変わりませんね。
 共に奇襲ゾイドに襲われる場合が一番危険ではありますが……奇襲ゾイドは前線で主力機を務める事もある戦闘ゾイドです。
 よって、そういう工作行動に主力にも使える奇襲ゾイドを運用しなくてはならない――その上、侵入したと言う事は孤立していると同義である為、損失する可能性が非常に高い――という事を敵に強制するだけでも存在意義が生まれます。
 簡単に訳しますと――。
 敵地制圧戦に置いて、制圧される側――敗残側から見ると、歩兵ではゴドスにまず勝てない。
(無反動砲の釣瓶打ちでもすれば話は違ってきますが、ゴドス側にも歩兵が帯同している筈ですからそれは難しい)
 抵抗する為には敗残側にもイグアン等の戦闘ゾイドが必要になります。
 そんな状況の中、もしも侵攻側の護衛が考察対象であった場合、用意する戦力が更に高い物で無くてはならなくなる為、反撃が難しくなります。
 そして、更にちょっとだけ補足しますと――重要部位にRPGで抜けない装甲を追加し、取り回しの良い連射兵器を増設した考察対象の対機械化歩兵部隊への戦闘能力は凄まじいです。
 ……それはもう、考察対象1機でゴドス3機分くらいの働き(殲滅しつつ生存できるなど)ができるぐらい。
 奇襲ゾイドを運用する襲撃側の観点から見た時も状況は似通っています。
 護衛がただのゴドスであれば、「ヘルキャット小隊でも放りこんでおけばいいんじゃね?」と考えられますが――。
 しかし、護衛が考察対象へと更新されていた場合「ヘルキャットじゃ返り討ちにあうんじゃね? となるとライトニングサイクス級を投入しなくてはならない――うぬぅ……どこの戦線から引き抜こうか……」
 ――と、敵の指揮官を大いに悩ませる事が出来ます。
 う〜んと……。
 勝てると思わないと戦闘は仕掛けられないから、あんまり戦闘にならない場所の戦力も強くしておけば、戦闘にならない?
 ――まぁ、要約すればそういう事です。
 なるほどねぇ……。
 運動性能が全く上がって無さそうだから私は絶対乗りたくないけど、安上がりそうな癖に火力も防御力も上がっているみたいだから……そういう嫌がらせには丁度いいって事か。
 …………あれ?
 でも、どっかで第2次大陸間戦争後の時代にこの子が主戦場で戦っている本を読んだ事があるような……。
 私達の居る世界とは別の北エウロペ大陸や南エウロペ大陸のヘリック共和国の同盟国(属国)や同国のテロ屋との交戦記録でしょうね、多分。
 先に述べた様に、新鋭兵器で武装している国家間の戦闘で主力を張る事は無謀ですが、予算的に弱小の戦闘ゾイドしか保有できない勢力に対しては比較的安価で高い戦闘能力を有するゾイドは重宝されます。
 その状況を踏まえた上で、先に述べた国として成り立っていない大陸や非国家勢力の主力が旧式ゾイドである事を考えれば――主戦場で活躍している事も説明が付きます。
 直接戦闘で有効な「二連装ビームガン」、ガンスナイパー並の長射程で戦力を削って来る「荷電粒子ビームライフル」、貴重な切り札である大型ゾイドを一撃で撃ち倒す「中型パイルバンカー」。
 つまり、そういう状況では、この考察対象は敵に対して「ふははは、怖かろう」(byF91の鉄仮面)と言える訳ね。
 ……なんでそんな古いネタを――。
 と言うか、立場上ここの一番上に居る「装甲板」も含め、その作品をまともに見てないですよね?



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