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ラフィーアの機体考察:ライガーゼロ・オーガ

 ……えと、対外的にはガイロス帝国寄りと記憶されているゾイド工廠L.C.factory製の改造型ライガーゼロ、 ライガーゼロ・オーガの機体考察を開始します。
 おや? ガイロス系なのに険が無い……敵国4連発も最後という事で気が晴れました? 
 いえ、まぁ……それも確かにそうなのですが……。
 セイスモサウルスが登場して間も無いとはいえ、 遠距離火力が物を言い始めた時代によくこんな物を作り上げたなぁ、と……。
 第一声がソレですか……綺麗な機体なのに。
 ……内面の素晴らしさは外面にも滲み出る物ですから、ソレは正しい表現です。
 先程は否定的な発言をしましたが、第4世代以前――従来型に準じた高速機と見るならば…… 本機の構築こそが正解と言えます。
 そもそも、ライガーゼロは外装を全変更する事を想定して設計されていた為に各関節の積載容量に余裕が有り過ぎる (=高速機体なのにトルクが無駄に高い・製造コストが無意に嵩む)という欠点を有していましたので、 その要素を排除するだけでも運動性能は2〜3割向上していると考えられ――それに加えて強化も施された考察対象は、 素体の状態でライガーゼロフェニックスに比肩する挙動性能を有していると考えられます。
 そして、外装は――。
 外付けの格闘戦用装備(ブレード)など折れたり嵩張ったりするので不要、 極め上げたその素体性能と強靭な四肢から繰り出される爪と牙があれば、どんな機体でも食い千切ってみせる。
 と、まさにシンプル イズ ベストを直走る設計思想を体現しており、 近接格闘戦に持ち込む事が出来れば、第4.5世代機並の駆逐率を誇れる事でしょう。
 ――だが、問題があると?
 ……まぁ、一目で判る通り――その近接格闘戦に至る為の牽制力の低さです。 
 第2次大陸間戦争初期――ジェノザウラー系によって確立された高速射撃戦闘は、 年を追う毎にその正確さと火力を増していく状況になっており、戦場の主軸が射撃戦となりつつあるのは明白でした。
 そんな状況であるのにも関わらず、考察対象に装備された射撃兵装は射角に制限のある胸部プラズマカノンのみ。
 上記兵装は、その構造上無限ともいえる使用回数を誇る野心的な兵装でありますが、 横方向に撃てない事から巴戦(旋回を主軸とした近接射撃戦闘)に押し込まれた場合、 非常に拙い状況に陥ってしまう事が予想されます。
 故に、凄まじい先見性で知られるL.C.factoryらしからぬ機体だな――と、そんな風に思ってしまった人は素人さんです。
 ……またこの流れですか。
 結論から先に述べますが――今回の考察対象は外面よりも内面…… ○チガイの方々が最も気にする反応速度をとても重視しており、 その事からこの機体は『乗れば2世代分位は総合性能が向上しますよー』 的な能力を持った方々の為に造られたゾイドと言えます。
 う、うわぁ……。
 事実とはいえ、お得意様の愛娘や自分の親友をキ○ガイ呼ばわりなんて。
 とは言いますが……性能で勝っているなら兎も角――敵弾が当たったら即終了、 勝っているのは俊敏性と突っ込める突進力位で射程も無ければ応用力も無い。
 そんな無い無い尽くしの状態で、相手に『当たらない!? 俺の弾が、一発もだ。奴は悪魔か?』 的な状況追い込める才能を、他に何と言いましょうか。
 ――話を戻しますが……そう言った特別な人が求めるのは『自分の思い通りに動く機体』であり、 そういう方々の前では性能は二の次くらいになってしまいます。
 ――――。
(ウチの高性能竜も、そういう人から言わせると重い、固い等散々な言われ様になってしまうからなぁ……)
 性能よりもまず、機体追従性――スラスターもフレキシブルタイプではなくシンプルな物とし、 先に指摘した武装も素体の動きを妨げないを事を最優先する形で選ばれたと考えられます。
 一番最初に述べた素体の強化も機体追従性を向上させる為の手段であったと予想され――通常、 そういう特異な人材を満足させる機体を作り上げるまでには多大な時間とコストが掛かる所を、 極めて低いコストと時間で作り上げたL.C.factoryの発想力こそが同ゾイド工廠の強みなのだと私は考えます。
 まー、誤って一般人が乗ったら、まず間違いなく蜂の巣だが。
 特化機体にそういう事態は付き物です。
(多大なコストを掛けて作った機体(反応が敏感過ぎて操縦性に難)が、 想定したパイロットに渡る事無く量産機に落とされるなんていう映像作品もありますし)