機体考察:セイバータイガーカスタム

 ……ん? 場所が開いたけどラフィーが居ないよ?
 んー、なんか前の考察の最後が予想外過ぎて、一回お休みするって言ってたよー。
 ふ〜ん。
 ……あれ? 怒らないの?
 へ? いや、抱きしめてかいぐりするぐらい私もした事あるし――というか、それ以上の事もした事あるから、そんな程度じゃ怒らないよ?
 …………。
 まぁ、私の見える所に出てきたら、遊び半分で殺しに掛かるけど……そう簡単に見つかりそうに無いからねー。
 ――――では、セイバータイガーカスタムの考察を開始致します。
 うわぁ……まとめ役が居ないから、強引に切って来たー。
 随分と古い機体だけど――あぁ、やっぱりあのL.C.factoryに縁のある所が製造元かぁ。
 で……シールドライガーの機体コンセプトを融合させた、つーてもあの紙装甲にして機動・運動性を向上させた――みたいな事はしていないみたいね。
 おそらく、武装の統一による操作性・反応の向上――という方針を目指したのでしょう。
 事実として、多数の武装を有するセイバータイガーと比較して、本考察対象の武装は2つのみ。
 確かに多くの装備を携行すれば応用力は向上しますが、継戦能力の低下(※)や被弾時の誘爆、重量の増加等などの問題が発生する事から、この思想は正しい判断であると推察できます。
(※)の補足……と言うよりも、説明かな。
 搭載位置の関係から小型化を強要される&それでも火力を維持する為に大口径化したい=携行出来る弾数が少ないって事。
 通常兵装であるビーム砲と比較して大型化した武装を装備している事もあり、扱いに多少の難があると考えられますが――。
 通常の量産型に対し、他の武装を全て取っ払った状態で背中の主兵装を換装するだけで、同兵装の特性と向上した機動・運動性能(※)により、ブレードライガー級にさえ対抗できるようになると推察します。
(※)の補足〜。
 火力と命中力の向上による攻撃性能の向上と、機動・運動性は武装を減らした事による重量の低減とバランスの改善によるものだよ〜。
 他にも各所の吸入口らしき部位から、Eシールドのような外部磁力を応用した機構――機体周囲の重金属粒子や磁場を転用した機動・運動性を向上させる機構が付いている可能性も考えられましたが――。
 ぉ? じゃぁ、もしかしてこの子はZAC2100年より前の磁気嵐の中を泳げたり……。
 ……いえ、冷却系の向上を目指した液冷の排熱口であろうという結論に達しましたので、恐らくそういった特異な機能は保有していません。
 ちぇー。
 え〜と、それじゃあ、次は武装系?
 ――了解しました。
 んーと最初は……複合兵装であるチェーンガンユニット――連射系とビーム砲の組み合わせって、実は複合装甲の天敵なんだよね?
 複合装甲自体が「薄い特化装甲を重ねる事で対応する」と言う概念である事からも判る通り、複合装甲は性質の異なる攻撃を何度も受ける事を想定していません。
 説明を続けます。
 ――惑星Ziの普及型複合装甲と考えられるのは、表層から順に対レーザー・ビーム、対低速、対APFSDS、対HEATであると考えられます。
 それに対し、本兵装はチェーンガンで対レーザー・ビーム装甲を破壊、同軸上に配置されたビーム砲でその後ろにある対実弾系の装甲を破壊する事が可能となる事から、的確な射撃を1点に集中すれば、大凡の装甲材を貫通できる可能性があります。
 まぁ、表層装甲が古代チタニウムで、対エネルギーに非実体のEシールド使ってたりしたら無力だけどね。
 その様な重装甲機体と相対した場合、全身装備の場合は鈍重機である事が確定する為に格闘による攻撃を、正面や側面等の主要部分だけの場合には非装甲面に回り込む――等の対応によって対処可能です。
 次はタクティカルグレネードランチャーかな?
 確かに両方使える兵装だけど……こっちばっかりはなんで一緒に付けたかねー、って所かな?
 外部情報をセンサー等に頼る機動兵器の索敵系に特に効果的な妨害兵器(※)と弾頭の質によっては決定打となりえる榴弾系の火器。
(※)またまた補足〜。
 目視率の高い現代兵器だとそこまで効力は高くないけど、外部からの情報をカメラ等の光学センサーに頼っている機動兵器には結構効くよ〜。
 方向性が真逆の兵装を混合した特異な装備ですが、おそらく搭載スペースを節約する為に装備したものと考えられます。
 なお、機体特性から弾体を遠くまで飛ばす必要がない事から、ランチャーは無反動が低反動と考えられ――。
 そうであるならば、武装自体の重量は軽量となります。
 ん〜と、1〜2回限りの補助兵装として考えて、使い勝手を割り切ったって事かな?
 まぁ、衝撃砲やレーザー系のエネルギー依存系の火器でもない限り、腹に付ける武装は弾数の制限が厳しいからね。
 しかし、フラッシュグレネード単体とした上で、低反動系のマガジン式とすれば非常に面倒な装備となったと考えられますが――。
 歴戦の勇士は複数の決定打を欲したって事か〜。
 ――尚、グレネードはそのサイズ上1発限りが限度ですが、整備性を考えなければフラッシュグレネードの方は2〜5発は搭載可能との推察もあります。
 搭載火器はこれでお終いで……次からは格闘兵装?
 ZAC2100年代の大型ゾイドでこれだけの兵装しか積んでいないのは、本当に珍しいよねー。
 後年ではコレが基本となる事から、L.C.factoryの先見性はご先祖様譲りという事なんだね。
 ――本題に入りますが、本考察対象は、ZAC2102年より前の機体でありながらレーザーファングが実装されています。
 量産機の兵装として実装したのはライガーゼロが初めてだから、恐らくシールドライガーのレーザーサーベルの技術を転用したレーザーファングとは名ばかりの試作品(※)でしょうけどねー。
(※)の補足〜。  ZAC2100年より前の年代では兵種として存在すらしていなかったと考えられる為だよ。
 本兵装の思考に入る前に、比較対象としてキラーサーベルの説明を開始します。
 正規型セイバータイガーの標準兵装となったキラーサーベルは、基本的には上方から突き刺すのが主な運用方式と考えられ――その仕様通り、威力は高いですが対装甲体に使えば折れる危険性が出てきます。
 あと、単純構造で製造コストのが非常に安価なのと、高威力の癖にエネルギー消費が無いのも魅力的だよねー。
 それに対し、レーザーファングは上方から突き立てる以外にも『噛み千切る』『食い付いて振り回す』等々、従来機が装備している長大な牙では実施不可能な攻撃方法が実施可能となっております。
 第2〜3世代機が世に生まれ出るまで充分な威力が伴わなかった牙の小技に有効な破壊力が加わったと考えれば、理解が進むでしょうか。
 まぁ、レーザーファングもこの頃だと実験兵装だからねー。
 使っている最中に動作不良に陥る事も多々あったでしょうけど……足の事も考えると、結構良い選択よね。
 最後の件は後で説明するよー。
 次は脚部の格闘兵装ですが――今回も、説明として旧来兵装と新鋭兵装の比較を行います。
 まずは考察対象の装備と同じストライククロー……構造的に鈍器と言っても過言ではない当該兵装の場合、敵機は潰されて吹っ飛ばされる事から、相手の損害は大破確実となります。
 最大威力の条件なら、90t前後の機体が有しているの全運動エネルギーでぶんなぐられる訳だからねー。
 それに対し、基本構造がエネルギーブレード系のストライクレーザークローの場合、相手は潰されて吹っ飛ばされる前に『引き裂かれる』のが追加されますので、全損確実となります。
 え〜と……。
 それ、普通に死ぬか、オーバーキルかの違いだけで、どっちも同じじゃないの?
 相手が低装甲機の場合にはまさにその通りですが、これがストライクレーザークローで抜けない程の重装甲機――歩く鉄塊とも言えるデスザウラー(E転換装甲仕様)とします――に対して同じ検証をした場合、少々事情が異なってきます。
 重度の全方位重装甲機体に使用した場合、ストライククロー、ストライクレーザークロー共にその装甲を突破できませんので、主なダメージソースは衝撃力となりますが――。
 ストライクレーザークロー系の場合、エネルギー系の切断能力付与という細工をしている以上、その機能が効果を発しない(機体重量を相手の損害に転化出来ない)状況に陥れば反動によって、高い確率で本体機能に障害が発生します。
 それに対し、ストライククローは単純明快な構造体ですので、破損の危険性は非常に低い物となります。
 あ、ちなみにこっちのストライクローも消費エネルギー無しね。
 格闘兵装の総括としまして、問題が生じても支障の無い『歯』は新機軸を採用し、破損時に機動に影響する(=損傷を避けねばならない)『足』は枯れた技術とする。
 ぶっ飛んだ思考をしつつも、要所で堅実な設計をしてくるL.C.factoryの伝統は、既にこの時代から存在していた、と。
 ガイロス帝国の希望の星となる高速ゾイドメーカーです。
 脅威であり続けて貰わねば、ウェシナに予算がおりなくなってしまいます。



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