機体考察:ジェノクラウエ リペア

 ガイロス帝国系の高機動格闘戦用ゾイド、ジェノクラウエ リペアの考察を開始します。
 見掛けはどう見てもジェノザウラーNEXT(『A4』型)ベースみたいだけど……設定上ではジェノザウラー『A1』型を素体とした特機なんだよね?
 原型機であるジェノクラウエは、オーガノイドシステム(OS)に対応できなかった初期ロットのジェノザウラーを転用した改造ゾイドとの事。
 ベースが『A1』型なのは確かな筈ですが――ラフィーア、何処から話しましょうか?
 では、まず考察対象の原型機であるクラウエの開発経緯の推察から入りましょう。
 考察対象の原型機の素体――原典のゾイドと言えるジェノザウラーは、汎用性を重視した当時最強の機動兵器でした。
 しかし、全ての状況に対応できるが故に、同等の技術力で近接機動戦闘に特化したブレードライガーとの直接対決に置いては劣勢を強いられ、その対応機としてジェノブレイカーが急遽開発されましたが――。
 考察対象の設計者であるロゼット女史は、その事実が露呈する前からその未来を予見していた様で、ジェノブレイカーロールアウトとほぼ同時期に考察対象のプロトタイプ(※)を立ち上げ、同機との模擬戦に置いてその優位性を知らしめました。
 ※の補足だよ〜。
 (設計自体は随分前に上がっていたらしいけど、低予算の関係で開発が盛大に遅れていた為みたい)
 突貫改造機のジェノブレイカーがその俊敏性能の低さ等から前線から姿を消していったのに対し、俊敏性を重視した考察対象の原型機は第2次大陸間戦争末期まで活躍しました。
 ――相変わらず、先見の目がありすぎて恐い技術屋です。
 ジェノブレイカーの評価を貶める意図は無い為、擁護致しますが――考察対象が所属する陣営は小規模故に“それしかなかった”という事情もあります。
 ――その過酷な状況下で活躍したと言うのも事実ですが
 とはいえ、流石に酷使が過ぎたらしく、何れかの戦闘で原型機は中破。
 その修理も兼ね、原型機は考察対象へと改修されたらしいですね。  
 と、なると――背負子が総取っ替えになっている所を見るに、背中辺りを盛大に持っていかれた訳ね?
 でも、フィーエルから見せてもらったパイロットデータを見るに、敵に背中を見せるタイプじゃなさそうだし……。
 横っ面から広範囲荷電粒子砲でも食らったか、大重量機に正面から良いのを貰って後ろに吹っ飛ばされてグシャ……って所かしら?
 そうでしょうね。
 改修なのに一部パーツが原型機と同じなのはその為ね……って、そういえば何で特機なの?
 見た感じ外装パーツの交換で済んでいるのが多そうだし、特装機でも良いんじゃないの?
 L.C.ファクトリーの独立性が高すぎてパーツの量産が行われていない為です。
 今でもほんの僅かな予備パーツで稼動しているジェノブレイカー系よりもこっちの方が好みのパイロットも居る筈ですが――あっちの国でも色々あるみたいですね。
 ……まぁ、敵国内の足の引っ張り合いは好ましい事ですが、この話はここまでです。
 さて、此処からが考察対象の本題に入りますが――。
 『リペア』と言う追加の名前が付いていますが、考察対象はロゼット女史が構想したジェノクラウエの真の姿であると予測します。
 背負子として許容できる最大級の推進装置と補助機動装置、考察対象の最大の優位点である格闘能力を阻害しない補助兵装。
 これ等の追加装備は予算的な問題に起因する開発の遅れにより、改修時という後付けになってしまったと予測しますが――。
 上記装備に原型機が保有していたデュアルシールドクローと素体本来の荷電粒子砲とを合わせれば、驚異的な格闘戦闘能力を有しながらもジェノザウラー本来の汎用性能力をある程度保有するゾイドとなります。
 ふーん……。
 で、どうして私が嫌いなジェノザウラーNEXTによく似てるの? この子。
 『A1』型のフレームを転用しているとの事ですので、目の錯覚と思いたい所ですが――。
 実際には、考察対象(正確に言うと原型機)こそが『A4』型のプロトタイプ(※)になるからですよ。
 補足だよ〜。
 (一応言葉にするけれど、本HP内での想定で……だよー)
 ……出来るの? そんな事?
 あの忌々しいジェノザウラーNEXTが出来たのって原型機が完成した20年後位でしょ?
 ガイロス帝国切っての異端技術集団『L.C.ファクトリー』を舐めてはいけません。
 …………古代種でも抱え込んでるの? そこ?
 いえ、現時点での調査ではそのような情報は上がってきておりません。
 ですが、介入しようとすれば派閥ごと吹っ飛ばされ、強引に引き込もうとすれば潰される……。
 ウェシナもゼニス・ラプター 開発時に バニッシュラプター の図面を引っ張ってくる為に色々画策したらしいのですが、結構洒落にならない被害を被ったらしいです。
 随分楽しそうな所なのね。
 ……覚えていたら、今度遊びに行こ。
 最後になりますが、本HPでは考察対象を第3.5世代機と想定しました。
 ……ん?
 最高速度が結構早めに560km/hも出るのに?
 まぁ、ちょっとした問題がありまして。
 ――引継ぎます。
 機体構造などの予測演算を行った結果、強度に問題があるとの推測がなされました。
 今まで聞いた感じだと、そんな間抜けをするような開発元じゃなさそうだけど?
 では、その推察に至った状況を説明します。
 まず、根拠からお話致しますが、問題となったのは重量比です。
 考察対象の全武装重量は133tとなっておりますが、それに対して素体となるジェノザウラーの重量は112.8t――。
 ここでは省略し、113tと致しますが、コレだけの重武装を施されていながら考察対象は20tしか全武装重量が増加しておりません。
 ちなみに原型機は135t。
 ……考察対象は原型機よりも外装が拡充しているのに、重量が低減している事になりますね。
 言われてみると、一番重量食いそうな主砲(LRパルスレーザーライフル)が抜かれている分を考えても――。
 もしかして、考察対象って素体自体がジェノザウラーよりも大分軽い?
 はい。
 ですが、それ自体はエルワチウム系の合金を使っているという事で説明が付くのですが――。
 ……いや、ちょい待った。
 たしかその軽量合金ってZAC2101年にヘリック共和国がやっとこさっとこで完成させた物でしょ?
 ――資源は在る(※)と思うけど、それよりも前に個人組織がソレを創ったと?
 ※の補足〜。
(当時、西方大陸の半分以上はガイロス帝国の物だったし、近い場所なら似たような鉱石がある筈だからだよー)
 『L.C.ファクトリー』ですから。
 …………。
 ――話題を修正致しますが、考察対象は原型機よりも更に発展させたエルワチウム系合金をフレームにも使用し、更なる軽量化を図った物と推察されます。
 ソレによる素体の軽量化と推進系の拡充により、考察対象の俊敏性能は更に高いレベルへと高められ、パイロットの反応次第ではエナジーライガーにすらカウンターを当てられる可能性が出てきましたが――。
 ほらほら、それなら第5は無理でも第4.8世代機ぐらいには――。
 ですが、デュアルシールドクローの防護範囲以外の部位に被弾した場合、一撃で行動不能になる可能性が発生しています。
 これは、『L.C.ファクトリー』の脅威敵な技術力を考慮しても、考察対象が保有できる装甲はジェノザウラーと同等の強度が限度であると考えられ――。
 素体が大型ゾイドであり、またデュアルシールドクローも防御範囲の狭さから、ある程度の被弾は避けられず、状況いかんでは中型ゾイドと交戦した際にも敗走に追い込まれかねないと判断しました。
 また、蛇足的な補足となりますが、『ジェノザウラー系のフレームでこの機動・運動性に耐えられるのだろうか?』という疑問も提示されましたが――。
 『L.C.ファクトリー』の技術力ならば、先に述べた軽量合金を上手く運用し、高い耐久力を持つフレームを建造可能と判断し、問題点とは致しませんでした。
 なお、第4世代機の指標とも言えるであるゴジュラスギガと相対した場合、パイロットの腕次第では撃墜可能である為、第3.5――最大評価でも第4世代機判定となりました。
 ……指標では厳しい話となってしまいましたが、考察対象の設計理論が組まれたのは第2次大陸間戦争初期〜中期の初め頃です。
 ガイロス帝国に冷遇され、予算を回されなかったが為に開発は遅れてしまいましたが、世の中に第2世代機が現れ始めた頃にコレだけの機体を設計・開発(※)出来た事こそ脅威であると明記し、本考察を終了します。
 またまた※の補足〜。
 (状況が状況なら、ジェノブレイカーと同時期に考察対象は生まれていてもおかしくなかったと本HPは想定しており――。
 周囲に第2世代機しかい居ない状況で考察対象が世に生まれていれば、ソレこそ機神の如き活躍をしたであろう事は疑いようがないんだよ〜)
 ……あれ? そういえばプリゼアは?
 定型文の代理表示は何度か見た気がするけど、本人を見ていないような。
 『次の考察対象なら試乗できるかも〜』と、走り去っていくのを先程確認しましたが。
 ちょ、そういう事は早く言いなさいよ。
 ……独りだけいい思いはさせないわよーっ!



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