機体考察:ライガーゼロ・ガーディアン・AD

 ライガーゼロ・ガーディアン・AD――正式名称ライガーゼロ・ガーディアン・アドヴァンスドの考察を開始します。
 なんというか……横幅がすごく大きいね。
 それに、見た感じ色々無理をしているような気がするけれど――。
 フィーエル、説明。
 了解しました、ゼフィリア。
 本考察対象はどの国家が開発・運用しているのか明示されておりません。
 ――しかし、恐らくはヘリック共和国の所属であり、セイスモサウルスがロールアウトした後の頃に運用されたゾイドであると予想されます。
 これは、明示されているカタログスペック――エナジーライガーに準ずる機動性能と、凱龍輝に比肩する抗エネルギー兵装を併せ持っている事から導き出した推察であります。
 Eシールドジェネレーターを8基合層する事でセイスモサウルスクラスのエネルギー兵器に対応できるようにし、エナジーライガー級に対してもインターセプトを掛けられるよう、転用品である4機の大型イオンフブースターによって機動性能を確保。
 素体がライガーゼロである為に、これらの装備だけでジェネレーター出力がいっぱいいっぱいになってしまいましたが、主兵装に大型格闘兵装であるエレクトロンソードブレイカーを装備する事で十分過ぎる攻撃力を獲得。
 フィーエルの予想の通りなら……既存の技術をうまく組み合わせる事によって、数の少ない凱龍輝の穴を埋められるように工夫したゾイドと言えます。
 ――――。
 ……まあ、その煽りなのか一部で相当な無茶をしていますが。
 う〜。
 なんか、私でも判っちゃいそうだけど……正式量産された子でも居たよね? 似たような子。
 ライガーゼロ・ファルコンとエナジーライガーね。
 両方ともカタログスペックは高いけど、動きが重いからあんまり乗りたくない奴。
 ……では、考察対象の最大の問題点であろう、武装配置の考察に移りましょうか。
 ――あ、判った。
 走れないんだ。
 その通りです、プリゼア。
 先にゼフィリアが上げた機種の片割れ――ライガーゼロ・ファルコンも似た様な運用思考をしているので、そう突飛な思想ではないのですが……。
 前足側面にはアーム付きの可動装甲、後足側面には大型ブースターを装備している為、推進機を運用しない状態での運動性能は低いと考えられます。
 そうだよねー。
 背中とかのあんまり動かない場所ならいいけれど、歩いたり走ったりするのに使う所に長物があったら、邪魔でしょうがないもんねー。
 ですので、考察対象の四肢は制動や旋回、攻撃行動や防御姿勢時に機体を安定させる為にあると言っても過言ではないと考えられます。
 それ以外にもあるんでしょ?
 ……これも見てわかる気がするけど。
  一つは 対実弾防御、もう一つは稼働時間でしょうか。
 え〜と。
 ……そういえば、『盾』として使われるけれど普通の高速ゾイドみたいにフレーム剥き出しだよね。
 機動性を確保する為の結果ですね。
 まぁ、一見すると不安になりますが……対エネルギー装備は非装甲部位にも及びますので、防御可能な対象をエネルギー兵器を主とし、実弾兵器はアクティブフィンシールドでカバー出来る程度しか受けないとすれば問題は無いかと思われます。
 とはいえ、その構築はセイスモサウルスがその存在感を大いに知らしめていた第2次大陸間戦争時代であれば問題無かったのですが――。
 後年ではレールガンを筆頭とした高威力で比較的小型の運動兵器も見直されてきますので、年代が進めば進むほど『盾』としての運用に危険が伴う様になってしまいます。
 稼働時間に関しては、先にも述べた『走れない』事が影響しているのですが……推進剤が尽きた場合、機動性能が大きく低下してしまいます。
 それに、推進剤ってずっと噴かしているとあっという間になくなっちゃうよね?
 はい。実にその通りで……機動兵器にとっては避けて通れない頭の痛い問題ですね。
 その上、防御重視って言う事は出来得る限り長く戦場に存在していないと意味無いんでしょ?
 ――大丈夫なの?
 ……残念ですが、それに関する答は持っていません。
   ――ですが、私的にはこの考察対象にはとても有効な使い方があると考えます。
 ……?
 先に述べた諸問題は、防御する為の機体として使うから発生する問題です。
 ――ならば、攻撃する為の機体として運用すればいいのです。
 考察対象が運用されていたと予想される時代において、ネオゼネバス帝国はエネルギー兵器を主兵装と置いている為、考察対象の突撃を止められるゾイドは希少なエナジーライガーぐらいしか存在しません。
 よって、考察対象をヘリック共和国軍が最も警戒しなくてはならない敵機――大規模範囲兵器を有するセイスモサウルスに対する対抗機として運用し、同機を排除する為だけに投入すれば、その装備特性上ほぼ一方的に駆逐する事が可能となります。
 突撃が有効な間合いに入るまでの間、ゴジュラスギガや凱龍輝に援護して貰わなくてはいけませんが、迅速にセイスモサウルスを駆逐出来れば、その背後に連なるゴジュラスギガや中小ゾイド群を守る事に繋がり、戦況に大きく貢献できます。
 ……あれ?
 でも、ライガーゼロの火力じゃセイスモサウルスを倒せないって聞いた様な……。
 例え装甲を抜く事は出来なくても、衝撃は通ります。
 ――ライガーゼロでは撃破できない云々はネオゼネバス帝国のプロパカンダですよ。
 まぁ、仮にそのプロパカンダが事実だったとしても、考察対象にはエレクトロンソードブレイカーがあります。
 ……最高速度状態の考察対象がこんなの振ったら、それこそゴジュラスギガでも吹っ飛びますよ。
(補足:エレクトロンソードブレイカーと考察対象の前足との接合部――最悪前足全部が破損しますが)



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